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5.クリニックのデューデリジェンス(買収監査)とは!?

一般法人と同様に、クリニックの承継においても、デューデリジェンス(買収監査)は必須となります。
財務的な監査だけでなく、レセプト、労務関係書類にもチェックが及びます。

財務監査

個人診療所の場合は「確定申告書(決算書)」、医療法人の場合は「法人税申告書(決算書)」が、基本の調査資料となります。
税務申告が適正に行われているのかをチェックするのではなく、健全な財務内容であるか否かを確認するものとなります。

経費項目のチェック

医業原価

薬品仕入、診療材料費、医療用消耗品費、検査委託費、利益率などについて、合理的な内容となっているか、改善できる内容であるか、等を個別にチェックしていきます。

販売費及び一般管理費

人件費、労働分配率(粗利益に占める人件費の割合)、接待交際費、福利厚生費、会議費、等について、合理的な内容となっているか、改善できる内容であるか、等を個別にチェックしていきます。

簿外資産・負債の確認

退職金債務

退職金の準備が出来ているか否かをチェックします。
退職金規定がある場合は、それに準拠して支給予定額を計算します。
規定がない場合であっても、過去に退職金の支給実績がある場合には、当該支給実績に基づいてその金額を算定します。
或いは、業界平均の退職金をベースに検討します。

勤続年数の短いスタッフばかりであれば問題はありませんが、10年を越えるスタッフが2名から3名いるクリニックの場合であれば、100万円以上の支給が予想されます。

今現在、クリニックが退職金債務として認識しなければならない金額がいくらであるのか、一度計算してみてください。

リース債務

リース物件は、毎月リース料の支払いという形で経理処理されています。
医療用機器の場合は、5年~7年の期間でリース契約を締結しています。契約期間満了までは、リース料を支払い続ける義務がありますので、契約残存期間と残リース金額の確認が必要となります。

契約そのものは通常、名義変更をすることで、次の先生へと引き継ぐことは可能となっています。

第三者への債務保証

帳簿に載っていない負債で、最も気を付けなければならないのが「第三者への保証」であります。
具体的な書類の提示がなければ確認することは困難でありますが、不透明な経理処理や、ヒアリング時に不明瞭な回答をされるなど、疑念が払拭されない場合は契約しない勇気も必要です。

借入金の存在の有無

医療法人での医療用機器の購入や内装工事代金の支払いに、個人名義で銀行から借り入れを行っていることがあります。

実質的には、法人の借入金として取り扱わなければなりませんので、借入金としての認識をするとともに、引継ぎ時に借換を行うか、或いは、譲渡代金で精算することが必要になります。

関連会社(MS法人)との取引の清算

MS法人の成り立ちと現在の存在意義

医療機関の節税スキームとして、メディカルサービス法人(MS法人)の設立が一世を風靡した時期があります。
しかし、一人医師医療法人の設立が認められるようになると、その効果は限定的になっていきました。

そして、消費税の導入、消費税率のアップ、社会保険料の負担割合が増大、等の外的要因により、その役割は終焉を迎えることになってきております。

しかしながら、現在でも、診療所建物の所有や自宅建物を社宅として所有しているなど、限定的であってもクリニック経営に影響を及ぼしている場合もあります。
事業承継に際しては、このMS法人の存在は無視できないものになっています。
以下、関連会社との取引において注意しなければならない事項を、ポイントを絞って紹介いたします。

業務委託契約

クリニックの事務部門の業務を法人で請け負う契約となります。

対象となる業務を行う事務スタッフが法人所属であるため、よく「派遣業務」と勘違いされることもありますが、法律的には、特定の業務を行う「請負契約」に分類されます。
したがって、派遣業法でいうところの事業所の免許は必要ありません。

実際の業務の大家としては、実務に従事しているスタッフの人件費にプラスアルファの利益を付加した請負金額で取引されているケースが多く見られます。

事業承継に当たっては、クリニックの所属スタッフである看護師と処遇を同じくしておく必要がります。
法律上は別人格の事業体のスタッフとなりますが、本人たちの認識は同じクリニックのスタッフであるということになります。

個人診療所である場合は、雇用契約が解消され、全員が新規雇用という手続きになりますので立場に差は生じません。
他方、医療法人の場合は、雇用契約が継続しているため、新規雇用をされることになる会社所属の事務スタッフは、医療法人所属のスタッフと待遇に差が生じてしまいます。

そうなれば、現状の給与額だけでなく、有給休暇の残日数の取扱いや、将来の退職金のための積立額についても差が生じることとなるため、納得性を持たせた対応を迫られることになります。

レンタル契約

医療機器や什器備品を会社で購入して、クリニックにレンタルする契約となります。

基本的には、帳簿価額(決算書に添付した固定資産台帳の金額)にて買い取ることになりますが、物件が現存しているか否かを確認する必要があります。
実務的には、当事者立会いで、固定資産台帳を基に、物件を1件ずつ確認して目録を作成する作業を行います。
ここで確認された物件については、引継ぎ完了時までの間に壊れたからといって勝手に処分することはできません。

不動産賃貸借契約

診療所建物と自宅を社宅扱いにして、会社との間で賃貸借契約を締結している場合があります。

自宅の場合、承継後はクリニックと無関係になりますので、ここで言及することは避けさせていただきます。
デリケートな問題でもあり、個別具体的に対応策を講じる必要があります。

一方、診療所建物については、基本的には時価(帳簿価額を基に算定した金額や不動産実勢価額等)にて相手先に売却します。
但し、売却価額が大きくて金融機関からの資金調達が困難である場合、そのまま賃貸借を継続させることもあります。
資金調達が可能であるからといって、安易に購入するのではなく、戦略的に検討する必要があります。

レセプトの監査

レセプト監査とは

既述の通り、財務面でのデューデリジェンスでは、資金面でのリスク評価が第一義となります。
一方、レセプトの監査では、診療行為の中身についての評価を行います。

承継するに当たって、現在の診療内容をそのまま引き継ぐことができるか否かを、「診療行為別」に評価します。
レセプトからは、クリニックの医療行為の結果が集約されていますので、その背景を垣間見ることができます。
どの様な患者が来院しているのかを疾病別に把握しておくのもお勧めとなります。
引き継ぐ先生がイメージしている患者層と合致しているのか、また、そのギャップをしっかりと捉え、どの様に将来に反映させていくのかを検討するための格好の材料となります。

承継する側のリスクヘッジとしては、収入金額のギャップ測定も行います。
例えば、診療方針が自分と違う場合、反射的に、患者の診療単価に大きく反映されてきます。
事業計画上、増加側に振れる場合は問題ありませんが、減少の可能性がある場合は、資金繰りにダイレクトに影響を及ぼすことになるため注意が必要となります。

レセプト監査の一般的な内容

レセプト原単位分析

1枚当たりの平均単価、患者1人当たりの診療単価、1か月の平均来院日数
⇒診療科目別のベンチマーク(比較)を行ってください。

※平均単価が他院と比して高い場合は、診療行為別の中身の確認が必須となります。
 過大請求の可能性もありますが、検査内容や診療技術の上で引継ぎできない可能性もあります。

※平均単価が他院に比して低い場合は、算定機会を逸している可能性も検討する必要があります。

診療行為別分析

診察、医学管理、検査、処置、処方の内容、を個別に集計させたものであります。
医師の診療方針がダイレクトに反映された集計表となりますので、現状の診療方針なども同時に把握することが可能となります。

疾病別の構成割合

イメージしている患者層とのギャップを知るために必要となります。

労務関係の監査

就業規則の確認と改定

患者を引き継ぐことと同じくらい重要なのが、スタッフの引継ぎであります。
先ずは就業規則など、クリニックにある諸規定の確認が必要になります。

最近に作成されたものでない就業規則の場合、現在のコンプライアンスに合致していないケースも散見されます。引継ぎの際には見直しを行って、改定することも必要になってきます。

人件費とその周辺コストの把握

給与については、現行の支給額だけでなく、将来に亘っての上昇傾向も見ておく必要があります。
社会保険料や退職金の負担額も経営的には大きなコストになってきます。
したがって、人件費の負担増に比例して増加するコストの把握も大事になってきます。

具体的なチェック項目は、次の通りとなります。
● スタッフの年齢と職種
● 現状の給与支給額
● 毎年の昇給内容(条件、金額等)
● 有給休暇の残日数
● 現時点での退職金支払い額(将来に亘って必要な積立額も把握する必要があります)

新規でスタッフを採用してから戦力に育つまでには数か月の期間を要します。
既に戦力化されたスタッフの場合は、存在そのものが貴重な経営資源となります。

患者の引継ぎに関しては、前院長の役割の大なるところがありますが、スタッフを継続雇用できるか否かは、新院長の腕の見せ所になってきます。
引継ぎが決まれば、退職者が出た場合のことも考えて、早急に個別面談を行って残留か退職かの意思表示を確認する必要があります。

募集から採用までは、最低でも1か月はかかりますので、後手にならないようにスケジューリングする必要があります。
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